「シュローダー・グローバル投資家意識調査2023」 新たな投資環境を背景に日本の投資家の4割は投資戦略を変更

シュローダー(本社:英国 ロンドン)は、個人投資家の投資行動や投資意識を把握することを目的に「シュローダー・グローバル投資家意識調査2023」を実施しました。本調査は、世界33の国/地域の2万3,000人(うち日本1,000人)を超える投資家を対象に、オンラインで行いました。

調査は大きく3つのテーマ、①新たな投資環境への対応、②サステナブル投資、③プライベート・アセット投資について行いました。

本調査によると、世界の投資家は、インフレや金利上昇が常態化する新たな投資環境を背景に、投資戦略の再考を迫られていることが明らかになりました。サステナブル投資に関しては、特に日本の投資家の間で魅力を感じる割合が増えたものの、それにつれて、課題も多く認識されるようになりました。プライベート・アセット投資は、個人投資家の間では今後理解が深まっていく段階であることが示されました。
※グラフや本文中の値は四捨五入して表示しています。調査の詳細はこちら(https://www.schroders.com/ja-jp/jp/intermediary/global-investor-study-2023/ )をご参照ください

<調査結果概要>
①新たな投資環境への対応
日本の投資家の4割が新たな市場環境に対応して投資戦略を変更済
本調査によると、世界の投資家の約8割(78%)が、インフレや金利上昇により、政策や市場環境が新たな時代を迎えていると考えていることが明らかになりました。
こうした環境を踏まえ、世界の投資家の半分以上(54%)がすでに投資戦略を変更したと回答していますが、約3分の1(34%)の投資家は、「変更していないが、変更する予定」と回答しました。この割合は昨年調査時とほぼ変わらず、不透明な市場環境が投資家の動きを難しくしていることが予想されます。
金利上昇が緩やかな日本では、新たな時代を迎えていると考える投資家は6割弱(56%)、すでに投資戦略を変更した投資家の割合も40%と、世界の投資家と比較して少ない割合にとどまりました。しかし、昨年調査時と比較し、投資戦略を変更した投資家の割合は上昇しました。

図1:インフレや金利上昇により、政策や市場環境が新たな時代を迎えていると思うか?



図2:インフレ進行などを踏まえて投資戦略を変更したか?

投資家のリターン見通しは楽観的
市場環境は変化しているものの、多くの投資家は楽観的な見通しを崩しておらず、世界の投資家の約9割(88%)が過去12カ月と同程度かそれ以上のリターンを期待しています。日本の投資家でも、50%の投資家は過去と同程度、約3割(28%)の投資家は過去12カ月を上回るリターンを予想しています。

図3:今後12カ月で期待する投資リターンは過去12カ月を上回るか?

世界の投資家の今後5年間の資産運用における予想年率リターン(平均)は11.5%と昨年調査時(11.4%)とほぼ同程度でした。日本の投資家の平均は9.1%と、2022年の8.2%から上昇しました。本調査で最も楽観的な予想をしたのは南アフリカの投資家で、16.8%でした。一方で、欧州、特にドイツ、イタリアの投資家はそれぞれ8.1%、8.3%と最も慎重でした。

②サステナブル投資
サステナブル投資に魅力を感じる日本の投資家の割合は上昇
日本の投資家にサステナブル投資(ファンド)に魅力を感じるか尋ねたところ、昨年と比較して、魅力を感じると回答した投資家の割合が全般に高まりました。実際、約2割(21%)の投資家が、過去1年間で自身の運用資産のうちサステナブル投資の割合を増やしたと回答しました。一方で、「高いリターンを見込めない」ことを理由に魅力を感じないと回答した日本の投資家の割合は昨年比で大きく低下(2022年36%、2023年9%)しました。
世界の投資家の回答は、全般に昨年と同じ傾向を見せましたが、「高いリターンを見込めない」ことを理由に魅力を感じないと回答した投資家の割合は昨年比で低下(2022年11%、2023年6%)しました。

図4:サステナブルファンドに魅力を感じるか、またその理由は?(複数回答可)

日本の投資家の懸念はパフォーマンス以外にも広がる
世界の投資家のうち、パフォーマンスへの懸念からサステナブル投資を躊躇する投資家の割合は、昨年の調査からやや低下(2022年37%、2023年36%)しました。日本の投資家ではその割合は増加(2022年38%、2023年43%)しました。
また、昨年の調査では、日本の投資家がサステナブル投資を躊躇する一番の要因はパフォーマンスに対する懸念でしたが、今年の調査では、「サステナブル投資がおよぼす影響に関し透明性とデータが不足」(49%)していることを挙げる投資家の割合が最も高くなりました。「サステナブル投資について、明確で合意を得た定義がないこと」に対する懸念を示す投資家の割合も上昇(2022年30%、2023年42%)しました。

図5:日本の投資家がサステナブル投資を躊躇する要因、上位3つ(複数回答可)


日本の投資家はリターン重視を選好
投資したいサステナブルファンドを尋ねたところ、日本の投資家では、「サステナビリティの要素を考慮しながら、主にリターンを重視するファンド」を好む投資家が昨年比で大きく増加(2022年49%、2023年62%)した一方で、それ以外のサステナブルファンドへの投資意欲を示す投資家の割合が減少しました。
世界の投資家の回答はおおむね昨年調査と同様の傾向となりました。

図6:投資したいサステナブルファンド(複数回答可)

世界の8割以上の投資家が企業への働きかけの意義に同意
「サステナブルな行動を企業に促すことは、企業が長期的な価値を生み出すことにつながる」というアクティブオーナーシップの考えに同意する世界の投資家は83%にのぼりました。日本でも半数以上(55%)の投資家が同意すると回答しました。

図7:サステナブルな行動を企業に促すことは企業が長期的な価値を生み出すことにつながる、に同意するか?

また、企業に働きかけを行う上で重要な課題を尋ねたところ、世界の投資家の約6割が、人的資本管理、自然資本と生物多様性、気候変動が重要と回答しました。
日本の投資家の間では、特に人的資本管理を重視する投資家の割合が約7割と、他の課題と比較して高い結果となりました。2023年3月決算期から人的資本の情報開示が上場企業に義務化されたことなどから、身近な課題でもある人的資本により関心が高まったと予想されます。

図8:投資家が企業に働きかけを行う上で重要と考える課題

③プライベート・アセット投資
「プライベート・アセット」の認知はこれから
近年、世界の規制当局や資産運用会社は、プライベート・アセットへの投資をより幅広い投資家にも広げる、いわゆる「民主化」を進めてきました。しかし、まだ日本での投資機会は限られていることから、「プライベート・アセット」という単語を「聞いたことがない」と回答した投資家が18%を占めました。

図9:「プライベート・アセット」をどの程度知っているか?


知識不足が投資の障壁
世界の投資家の約3分の2(64%)はまだこの資産クラスに関する知識が乏しいと回答しており、継続的に投資が拡大していくためには、さらなる投資教育が必要とされていることが明らかになりました。また、投資家のほぼ3分の2(63%)が、換金しにくく保有期間が長いことが投資の障壁になっていると回答しました。日本の投資家でも同じ傾向が見られました。

図10:プライベート・アセット投資の障壁となるものは?

プライベート・アセットへどの程度の資産を配分したいかを尋ねたところ、世界の投資家の平均は16.4%でした。世界の投資家のうち投資知識レベル「専門家」の投資家の平均は高く、23.1%でした。日本の投資家の平均は13.1%でした。

日本の投資家は運用実績、世界の投資家は運用会社の評判を最も重視
世界の投資家にプライベート・アセットへの投資を判断する際、最も重要な要素を尋ねたところ、運用会社の評判やブランド(28%)、ファンドの運用実績(25%)を重視する投資家の割合が高くなりました。日本の投資家は運用実績(26%)を重視する投資家が最も多いことが示されました。

図11:プライベート・アセットへの投資を判断する際、最も重要な要素

短期的な投資を想定する投資家も
プライベート・アセットへの投資期間について尋ねたところ、世界の投資家のうち28%はプライベート・アセットへの投資期間を1年以下と回答しました。流動性が低いことが特徴のプライベート・アセット投資においては短期すぎると考えられます。一般に投資成果の最大化が期待される5年以上と回答した投資家は26%でした。
日本の投資家では、1年以下と回答した投資家は13%、5年以上と回答した投資家は39%と、資産クラスの特性に即した期間が想定される傾向が見られました。

図12:プライベート・アセット投資で想定する保有期間


シュローダー グループCIO兼運用部門共同責任者 ヨハナ・カークランドのコメント:
「投資環境が脱グローバル化、脱炭素化、人口動態によってますます変化しつつある中で、投資家はインフレ率と金利の上昇が続く環境にまだ慣れていません。どの資産も、銀行の預金利回りと競争するために、価格の再設定を余儀なくされています。資産価値の評価方法が再び重要になっています。過去15年間に比べ、投資手法はより柔軟で積極的である必要があるかもしれません。 調査結果によると、一部の投資家は他の投資家よりも迅速に適応しているようです。」

シュローダー サステナブル投資グローバル・ヘッド アンディ・ハワードのコメント:
「今年の結果は、サステナブル投資におけるアクティブ・オーナーシップの重要性が広く認識されつつあることを示しています。業界を問わず、企業はさまざまな課題と機会に直面しており、適応と進化への圧力はますます強まっています。長期投資とファンダメンタルズ分析を重視するアクティブ運用会社として、私たちの声と影響力を行使し、企業がより健全で持続可能なビジネスモデルを構築するようこれまでも促してきましたが、その重要性はますます高まっていると考えています。」

シュローダー・キャピタル CIO ニルス・ロードのコメント:
「数年前までは、プライベート・アセットの投資家といえば機関投資家、つまり、年金基金や大口の寄付金基金などでした。本調査でも示されたとおり、この状況は今後数年で大きく変わりそうです。」
「プライベート市場にアクセスするための選択肢は拡大しており、小規模な投資家も注目しています。市場を読み解くのが難しい時代を迎え、投資家は望んだ結果を達成するためのさまざまな手法を求めており、プライベート・アセット投資に対し多くの期待が向けられています。」
「私たちは、小規模な投資家の選択肢が広がることは、非常に好ましいことだと考えています。プライベート・アセットへの投資は、これまで以上に増えてくるものと考えています。」

シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社 投資信託営業部長 堀本亜紀子のコメント:
「金利上昇や急速な円安の進行など、日本の投資家はこれまでと大きく異なる市場環境に直面しています。投資家が新たな視点も取り入れ、より柔軟に対応していくためには、運用会社が果たせる役割も大きいと考えます。プライベート・アセットなどを含め、投資家のよりよい選択に役立つ戦略の提供を継続していきたいと考えています。」
「本調査では、日本でサステナブル投資に魅力を感じる投資家が増え、それにつれて課題も多く認識されるようになったことが示されました。投資家の関心が高まりより厳しい目が向けられることで、サステナブル投資がさらに高度化することにつながると考えます。」
「今後も、投資家のみなさまの資産形成に資する長期的なリターンのご提供と、情報提供を含むサポートを継続してまいりたいと考えています。」

【調査の概要】
世界33の国/地域の2万3,000人(うち日本1,000人)以上の個人投資家を対象とした独自のオンライン調査。調査期間は2023年5月26日から7月31日。今後12カ月間で1万ユーロ(またはそれに相当する額)以上を投資する予定があり、過去10年間に何らかの投資行動をとった方を「投資家」と定義。

以上

シュローダーについて
シュローダーは、1804年創業、運用資産額で欧州最大級(約133兆円*)の独立系資産運用グループです。世界38拠点6,000名以上の従業員が連携して資産運用業を行っています。ロンドン証券取引所に上場する一方、引き続き創業家が中核株主として議決権付き株式の約半数を保有し、長期的視点で資産運用業に取り組んでいます。
*2023年6月30日現在7,261億英ポンド、1英ポンド=183.75円換算。

日本とのかかわりは古く、1870年(明治3年)、日本初の鉄道敷設のために日本政府が初めて発行した国債の主幹事を、シュローダーが務めたことにさかのぼります。1974年には東京事務所を開設し、日本における事業の本格的な第一歩を踏み出しました。幅広い資産運用サービスを提供する現在も日本株式運用を事業の中核の一つに据え、約150年前と同様、日本の未来への投資を通じて歴史を紡いでいます。

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この企業の情報

組織名
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
ホームページ
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/
代表者
黒瀬 憲昭
資本金
49,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目8番3号丸の内トラストタワー本館21 階
連絡先
03-5293-1500

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